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神社で秘め事~先輩、好きでした⑤

 はじめから読む→「神社で秘め事~先輩、好きでした①」


 それからひと月ほどが過ぎた。
 竜助は、あの日のことが頭から離れなかった。
 ある朝突然、神社での出来事を思い出して、性欲が高まり、隣で寝ているまどかを襲った。
 しかし、罪悪感もあってか、思うようには勃たなかった。
「今日は、外に食べに行こうよ」
 まどかも興ざめして、食事を作る気になれなかったようだ。
「今朝の竜助、おかしかったわよ。なにかあったの?」
 鋭い視線。
 慎重に獲物に近づく猫のようだ。
「べつに……」
 二人でファーストフード店の窓ぎわの席に着いて、注文を待った。
「あれ、あの子」
 まどかが、少し驚いた声を出した。
 竜助も、目を見張った。
 窓の外の歩道を、千春が、背の高い男と、腕を組んで歩いている。
 二人で微笑み合っていた。
「知ってるのか?」
 動揺を抑えながら、竜助は聞いた。
「あの子、高校の後輩よ。今度、結婚するらしいわ」
「そ、そうなんだ」
 動揺が隠しきれなかったのか、まどかはジロリと竜助を見た。
「……同じ高校の後輩か……そう言われると、どこかで見たことあるような……」
 竜助は、もう一度、窓の外の二人に目を向ける。
 男は、冴えない顔だが、優しい雰囲気があった。
「彼女は、自転車屋の一人娘なのよ。それで、彼氏は婿養子になるそうね。後継ぎがいないから、高齢の両親のために結婚を急いだのよ」
 自転車屋の娘。
 それなら、もしかしたら自分でチェーンくらい直せたのではなかろうか。
「詳しいな」
「そりゃあ、もう」
 まどかは続けた。
「あの娘は、学生時代、ずっとあなたのことを好きだったのよ」
 ドキッとした。
 まどかはふたたび猫のような目で、竜助の顔を覗き込んだ。
「あの娘のことは、全部、調査済みよ」
「そうか」
 まどかは、目を伏せた。
「……それに、うらやましい、授かり婚らしいわ」
「え……」
 あの日の、千春の言葉がよぎった。
 大丈夫ですから……。
「どうしたの?」
「いや、別に」
 もしかしたら、すべて最初から、千春は計画していたのかもしれない。
 竜助の走るコースを知っていて、あの場所で、待ち伏せしていたのだ。
 しかし、今それがわかったからといって、どうしようもなかった。
 竜助は、あの日の記憶に蓋をした。

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テーマ : 官能小説
ジャンル : アダルト

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